JXHDと東燃ゼネラルとの経営統合契約について
あなたはJXと東燃ゼネラル統合関係企画の 番目のお客様です。2016/8/31
昨年12月3日の両社より発表されたこのニュースですが、8月31日に両社よりその続編が
発表されました。詳しくは、両社の34頁にも亘る公式発表資料をご覧下さい。
 弊社のHPではその要約と今回初めて発表された合併比率(株式交換比率)について
解説したいと思います。(公取関係の発表は無。公取の承認は大前提) 文責 垣見裕司

今回発表の内容が12月の発表と微妙に違うところ
要基本は、12月に発表された通りですが、少しだけ違うという印象を私が持った
点について解説します。私の認識違いかもしれませんが、12月の発表を一言で
言えば、2015年12月3日発表のプレスリリースの通り、JXHD傘下のJXエネルギー
と東燃ゼネラルの合併で、存続会社はJXE。本社所在地もJXの大手町と思って
おりました。ところが今回の発表では、最終形こそ同じものの、東燃からみれば、
JXHDの子会社JXEとの統合ではなく、本体のJXHDと東燃ゼネラルとの統合に
見える形です。その理由として、コストだ、手続き上の問題だと仰る方もいてそれは
その通りだと思いますが、私はJXとして東燃ゼネラルと東燃ゼネラルの株主様に
対し、最大限の敬意を払ったのではないかと思います。
  2015年12月発表時のフロー           2016年8月発表時のフロー

社名や人事についても想定の通りかつ順当か
会   長 社   長 副 社 長
JXTGホールD 木村康(日本石油) 内田幸雄(日本鉱業) 武藤潤(ゼネラル石油)
JXTGエネルギー 杉森 務(日本石油) 廣瀬隆史(モービル石油)
合併比率(株式交換比率)も2.55と発表になりました
12月の株主総会。そして来年4月1日のスタートならば、そろそろ決めないと
いけないはずと思っていましたが、両社の統合比率というか株式交換比率も
今回発表となりました。全34頁のうち12頁も割いていますので、要約しました。
決定された比率は、2.55。すなわち高い方の東燃1株に対し、JX株を2.55株
割り当てるのです。一方、発表時の8月31日の午前の終値は、JX 382円
東燃921円で比率は2.41、逆に2.55は 974円ですから 東燃株主に約50円の
プレミアムをつけた感じです。午後の終値は東燃株が前日比51円高の955円。
JXは前日比8.4円高の387円ですが、いずれ比率に落ち着くものと思います。

JX側の算定人 東燃ゼネ側算定人
野村証券 シティG証券 みずほ証券 大和証券 メリルリンチ 三菱MS
市場株価評価法 2.29-2.39 2.29-2.40 2.29-2.39 2.29-2.68 2.29-2.68 2.31-2.48
類似会社比較法 1.81-2.15 --------- 2.84-3.86
DCF法 2.45-2.80 1.05-3.55 2.51-2.77 2.08-2.65 2.29-2.69 1.76-2.52
今回の決定 2.52 8/31AM JX  382円 比率  1 382円
終値 東燃 921円 比  2.41 2.55の株価 974円

配当金額からも逆算してみました

株価の他に配当の利回りも株の価値の要因なのでそちらも調べてみました。
東燃ゼネラルの年間配当 を38円(19円 + 19円)とします。
JX株の年間配当を 16円とすると2.375です。よって配当からの逆算では2.55は
やや高いことになります。
更に東燃ゼネラルは 期末(後期)に28.50円に大幅増額して記念?配当をする
そうです。やはり、吸収合併されてしまう、東燃ゼネラル株主への配慮が見られます。
東燃ゼネラルには、もはや出光のような大株主はいないので、臨時株主総会で
今回の合併は波乱なく承認されると思っています。
今後のタイムスケジュール
今回の今後の経営統合に向けての詳細なタイムスケジュールも発表されました。
大前提のなるのは、勿論公取等当局から承認が下りることですが、それ以外にも
下記の難関や日程を一つずつ確実にクリヤーしていく必要があります。

2016年08月31日 経営統合契約締結の承認に係る取締役会(両社)
2016年09月01日 臨時株主総会の基準日公告(両社)
2016年09月30日 臨時株主総会の基準日(両社)
2016年11月08日 吸収分割契約の締結
2016年12月21日 臨時株主総会(両社) これが最も重要です。
2017年01月01日 EMGマーケ社の吸収合併の効力発生日(東燃)
2017年03月28日 東燃ゼネラルの最終売買日
2017年03月26日 東燃ゼネラルの上場廃止日
2017年04月01日、経営統合日(株式交換、吸収合併、吸収分割の効力発生日)
統合効果は 3年後までに年間1000億円
経営統合効果についても、具体的な数字が示されました。当初は5年後としていた
期限も5年以内から、3年以内に前倒ししました。
供給・物流・販売 280億円 原油調達OPの最適化、海上、陸上配送の効率化
精製部門 400億円 川崎地区の一体運営で約100億円の収益改善
ベストプラクティクス活用による省エネ促進・補修費削減
購買部門 150億円 工事資材、触媒などの購買コストの削減
その他 100億円 統合基幹業務システム導入による効率化合理化
合計 1000億円

さて上記の中に製油所の統合や廃止は入っているのでしょうか。
この質問に対して、統合後速やかに検討を始め数年内に結論を出すとと答えるに
留まりました。

公取の審査状況は

最後に一番知りたいのは、公取の反応です。公取は、JXと東燃、出光と昭和
シェルの2件を、一括して審査していると伝えられています。出光は創業家との
対立が続いていますが、仮に完全統合しなくても、一定割合以上の株式を所有
することは変わりないのて、現状のまま審査を続け、今秋中にも同時に公表する
そうです。

出光と創業家の関係は、雑誌「選択」によれば、業界問題ではなく週刊誌レベル
の扱われ方ですが、とにかく9月から10月末頃までに出光がRDシェルから昭和
シェル株を粛々と買うのか等を注視して行きたいと思います。