2016年 新年の話題はこの3つ
 JXと東燃ゼネ統合、原油価格再暴落、電気自由化その末端価格は
あなたは1月電力自由化企画の 番目のお客様です。2015/12/30
新年、明けましておめでとうございます。今年もよろしくお願いします。激動の年始めに
書きたいことは沢山ありますが、JXと東燃ゼネ。どこまで下がる原油価格。電気の自由化。
特に電気は未だに末端価格が見えてきませんが、1月はこの3つでいきたいと思います。
                                          文責 垣見裕司
JXと東燃ゼネラルとの統合の話
皆様もご存じの通り、夏頃からの噂、そして11月16日と12月2日の新聞やテレビの
一部先行報道の通り、JXホールディングスと東燃ゼネラル石油は、12月3日に
記者会見を開き、経営統合に向けた交渉に入ったことを正式に発表しました。
http://www.hd.jx-group.co.jp/newsrelease/upload_pdf/20151203_01_02_1050061.pdf 
内容を要約すると以下の通りです
1 経営統合の目的 国際的な競争力を有する会社を作る
2 経営統合の基本方針 公平公正かつ対等の精神
3 経営統合の方法 JXエネルギーを吸収会社 本社はJXの新本社ビル
     株式交換により行う
4 統合比率は 市場株価他を総合評価し 今後協議して決定する
5 事業運営の基本方針 今後協議して決定するも東燃への配慮を感じました
6 株主還元 利益還元が重要(これも高配当をする東燃への配慮か)
7 統合効果 5年以内に毎年1000億円
8 ビジネスパートナーとの関係 特約店代理店等は公平な対応とする
9 ブランド 各ブランドは当面継続使用 その後は検討
中略
13 経営統合の日程 2016年8月統合比率決定 12月株主総会 来年4月開始
両社の数字は合計せず、個々に見ること
下記に両社の主だった数字を並べてみました。連結なので、JXは開発や金属等
東燃にはないものも含まれていますので、単純比較は出来ません。また統合する
のは、JXHDではなく、傘下のJXエネルギーと東燃ゼネラルです。下記参照。
 上場会社が経営統合するとき、色々評価方法はありますが、私は最後に物を
言うのは、全ての評価が含まれている時価総額だと思います。
 さてこの話が12月3日に発表されたあと、関係者の口は、むしろ固くなったよう
に思います。恐らく、公正取引委員会の審査もこれからですし、出光と昭和シェル
との経営統合が成功することが大前提だからなど、気を遣っているのでしょう。
従って私の解説も、ここまでで止めておきたいと思います。

連結 総資産 純資産 売上高 資本金 株式数 株価 時価総額 従業員 SS数
JXHD 74234 24298 108824 1000 249548万 500円 12422 26415人 10783
東燃 13762 2627 34510 351 56518万 1070円 6064 3450人 3481
どこまで下がるか原油価格
原油価格の更なる値下がりは12月企画でご報告の通りですが2014年7月の暴落は、
シェールオイルの増産や中国経済を始めとする世界経済の失速等需給緩和要因。
その後、一時60ドルに上昇した時は、「原油価格は底を打った」と思ったのですが、
2015年も7月から再び下り12/21には33.98ドルを記録。2008/12/15の32.40に迫り
ました。今回の下落は需給緩和要因ではなく、世界同時株安で投機マネーが、
一時的な流出と解釈していましたが、株価が戻っても原油価格は戻りません。
ISからトルコへの原油輸出、イランの経済制裁解除での原油増産輸出再開、
中国経済の失速、欧州経済も弱含み、米国の高い在庫と40年ぶりの輸出解禁
発表では、上がる要素が見当たらず、再度需給バランスの崩壊が起きたようです。


これ以上の下落は むしろ危険 産油国の経済崩壊や治安悪化を招く
エネルギー輸入国の日本としては、原油等エネルギー価格が安いことは大歓迎
です。しかし30ドルとなると それは別問題。例えば最大生産国のサウジの財政
赤字は2015年が国内総生産(GDP)比22%で、前年の3%から急拡大すると
IMFの報告書は指摘しています。同様にアラブ首長国連邦(UAE)が2015年は
赤字に転じる。それも2015年10月の50ドルでの話ですから、現実は深刻です。
サウジは過去の原油輸出収入で積み立てた準備資産を取り崩しているそうです
同資産の残高は8月、前年同月より11%少ない約80兆円に減ったそうですが、
2015年9月までにサウジが計350億リヤル(約1.1兆円)の国債を発行したことは
余り知られていません。隣国イエメンへの軍事介入の戦費も痛手とのこと。
イスラム諸国の中では、サウジは戒律の厳しい国として知られていますが、
それは宗教上からではなく、一部の王族が石油の富を独占していることへの
一般国民の不満をコントロールするためのバラマキ予算と治安維持にこそ
厳しい戒律が必要だと言っている人もいるくらいです。
 1リアル 32円
下記はサウジの財政収支ですが、2015年は約16兆円の赤字予想です
年 単位億リアル 2010 2011 2012 2013 2014 2015年予想
財 政 収 支  706.3 2802.9 3302.9 1616.3 -961.4 -5112.8
電気代はどのくらい違うのか まずは10電力会社で調べてみる
電力業界は今まで総括原価方式と地域独占という二つの特権に支えられて
いました。ではその競争のない体質と原発停止でどうなったのか。2015年12月
60A契約相当で600kWhを使った場合の料金を高い順に10社並べてみました。
結果は下記の通りですが、最高値の北海道と一番安い北陸電力では、何と
30%弱も違っていたのには、私も調べてみて大変驚きました。北海道電力が
何故ここまで高いのか。広い面積をカバーしなければならないからと仮説を立て
託送料金を調べてみましたが、高いのはむしろ沖縄電力でした。北海道電力は
30年超の古い石油火力で安いLNG火力がゼロというのがその理由のようです。
 いずれも2015年12月 60A 600kWhで想定 再生可能は948円含む 空欄は不明
300kWh 基本 基本 120kWh 300kWh 300kWh 燃料 月合計 月合計 託送
600kWh 30A 60A まで まで 以上 調整 30-300 60-600
1位 北海道 1004 2009 23.54 29.72 33.37 +-0 9353 20,795 8.76
2位 関西電力 20.84 27.27 31.09 ??? 8181 18,183 7.81
3位 東北電力 972 1944 18.24 24.87 28.75 -432 8528 17,750 9.71
4位 東京電力 843 1684 19.43 25.91 29.93 -960 8866 17,647 8.57
5位 沖縄電力 22.49 27.93 29.87 -672 7718 17,132 9.93
6位 中国電力 2398 20.34 26.90 28.98 -306 8034 17,082 8.29
7位 中部電力 842 1685 20.68 25.08 27.97 -1716 8540 16,303 7.81
8位 四国電力 20.00 26.50 29.95 -378 7821 16,236 8.61
9位 九州電力 874 1750 17.13 22.63 25.57 -516 7708 15,981 8.30
10位 北陸電力 712 1426 17.48 21.29 22.98 -66 7164 15,131 9.01
新電力の売込価格 東京電力他 地元電力比 最大5-6%安が限界か
新聞情報等で調べた範囲内ですが、12月25日現在、新電力会社がその末端価格を
発表している例はまだ少ないようですが、判明分を下記に掲載してみました。

新電力会社名 発表 対象A  価格等について  特  徴
大ガス価格発表
+ドコモと提携
12/25
12/18
関西電力比約-5% 4人家族(月370kWh・年4,440kWh)、
で年間約6,200円(約5%)お得
ソフトバンクでんき 12/25 価格未発表 通信とのセット割り 
ローソン三菱商事 12/25 ブランド名 まちエネ 
JXエネルギー 40以上 未発表 特約店販売店SS他ノジマ電気と提携
東京ガス+NTT他
通信系12社と提携
12/24 30以上 基本料金は何と
東電より高い
140まで高い 350まで23.89と安い
350以上は同じ、ガスとのセット割り
(270円/月)でないとメリットは少ない?
岩谷産業 12/18 価格未発表 傘下2社で 電力小売り参入
東急パワーサプライ 12/16 30以上 60A東電比最大-5% 123全段階で東京電力より安く設定
旅行のHIS 11/30 参入表明価格未発表 販売窓口全国約300ヶ所のHIS店舗網
東燃ゼネラル 30以上 30Aで東電比-3% 60Aで最大6%

個人的には、最大の本命と思う東京ガスや大阪ガスがどのような価格を打ち出すか
を興味を持って注視していましたが、最大でも5%安程度。それも30Aや300kWh以下
では、高くなるような料金体系もあり極めて冷静かつ現実的なスタートになりました。
東京ガスか打ち出したの電力料金の東京電力との比較は下記表の通り。
その他の注目点としては、LPガス会社の日ガスやTOKAIに続き、レモンガスが12月
22日、東京電力との提携を発表。ガスの自由化を見据えた戦略と思われます。

基本料金 30A 40A 50A 60A 第1段階 単価 第2段階 単価 第3段階 単価
東京電力 842.20 1123.20 1404.00 1684.80 120まで 19.43 300まで 25.91 以上 29.93
東京ガス 907.20 1209.60 1521.00 1814.40 140まで 23.24 350まで 23.89 以上 29.12
実質的な申込開始は2月以降か、果たしてどのくらいの申込みがあるのか
上記各社HPを見ると具体的な価格発表や申込受付は1月以降としています。これも
当初の12月中には価格の発表があると思っていた私としては、1ヶ月遅れです。
また供給切り替え(スイッチング)には、住所、氏名の他、東京電力管内なら東京電力
のお客様番号と「供給地点特定番号」という22桁の番号を、切替先の新電力会社に
通知するのですが、この番号を発行するは、顧客を奪われる東京電力なのです。
杉並区は、12月14日の検診表にはその番号はまだ記載されていませんでした。
この「供給地点特定番号」を任意とする会社もあれば、必須とする会社もあるので
制度設計やその運用も、走りながら試行錯誤しながら決めていくという状況です。

私が最も知りたいのは、どのくらいお客様が切り替え申請をするかということです。
各社が各様に行った事前のアンケートや、調査会社の調査等では、顧客が電力供給
先を変更しようと思うきっかけは、色々ありますが、停電等の供給安全が変更前後で
実は全く同じだと分かった後の話しですが、最後は価格の差なのだと思います。
JX調べでは、変更を検討している人は、すぐに5%、早めに11.5%を含め68%もいます。
この中で1%でも安ければが25%、5%でも安ければが22%で、合計47%もいるのです。
一方enechangeの調査でも58%が今より安くなれば変えたいとし5%安未満で25%。
5%以上10%未満で約40数%の人が替えたいと思っているとのことです。

また普通何かを切り替える場合は、既存の購入先と切替先と両方に意志表示と書類
提出をしなくてはならないのが一般的ですが、電力の場合は5分程度で書ける紙1枚。
その意味では 手続きはとても簡単です。
ガソリン価格なら、120円で、3円から5円違えば、SSを変わる(サービス等が同じなら)
と言われていますが、電気は今買っている価格を知らない人がほとんどなので、
本年末に何軒変わっているのかは、本当に興味深いところです。
営業に関する努力目標と禁止事項 (筆者予想)
各新電力会社が守るべき営業ルールについては、電力取引監視等委員会が
纏めた指針を経産省が正式決定し、1月にも発表するようです。
例えば、利用者が電力会社を選ぶときに目安となるよう、一般家庭の標準的な
電気使用量での月額料金を示すことや「標準メニュー」の公表。解約時に不当な
高い違約金を請求しないこと。「停電しにくい」など根拠のない表現も禁止。
また「地産地消」と表現する場合は発電所の設置場所と供給地域や火力の
場合は地元産の燃料を使うなど地産地消の理由説明も求めるようです。
電力会社の供給域外に引っ越す際は違約金を請求しないよう求める。
訪問販売や電話勧誘による契約は、クーリングオフの対象とし、契約書面が届いて
から8日間は無条件で解約できるとする。未払い等で電気を止めるときは5日前の
通知義務を課す。太陽光や風力など再生可能エネルギーの表示も規定を設け、
固定価格買い取り制度を利用した電気は、制度の略称を用いた「FIT電気」との
表示を義務化する一方、 制度を利用した電気を「グリーン」や「きれい」と宣伝は
禁止する。その一方、再生エネや火力、原発の割合といった電力の電源構成は
自主的な開示を要請するものの義務化は見送ったようです。
垣見油化グループは3本の矢
当社は、電気事業に関して 3本の矢で対応したいと思います。
石油部門の直営SSに於いては、ブランド力のあるENEOSでんき。
本社を中心とした商業地域では、高圧分野である50kW以上のビル一括受電。
高圧部門は極めて競争が厳しく、数10銭単位の勝負で、割引が出来ない
ビルも多々あると思いますか、最良最強の会社と提携したので、挑戦します。
LPガス直売子会社では、ガスとのセット割り可能な、OOO電気です。現在価格
表作成中ですが、最大6%引きを目指します。実はこのOOO電気は現在商標
登録中なので、認可され次第お知らせします。