ガソリン価格値上げのお願いとご説明
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テレビや新聞等でガソリン価格の値上げが、報じられています。しかしその多くは
原油高と円安。でも正確には少し違うのです。今月は7月以降の大幅値上げのお願いと
ご説明等、そしてガソリン価格から、業転価格、そして、質問の多いシリア情勢と
原油価格まで解説して行きたいと思います。  文責 垣見裕司 

2013年9月 円安原油高に伴う ガソリン等の値上げについてNO2 2013/8/31 初掲載 
昨今、テレビや新聞等のマスコミで、ガソリン価格の値上が報じられています。
1分程のテレビニュースの場合、その理由は原油高と円安ということになっています。
1年等の長いスパンでみれば、まあ正しいのですが、ここ2か月を見るなら、原油高も
ありますが、むしろ業転高なのです。以下、下記のグラフで説明します。まず
8/26現在の石油情報センターのガソリン価格全国平均は消費税込で160円です。
100/105にして消費税抜の価格なら152.6円で、そこからガソリン税53.8円を引いた
ダブル税抜価格 98.8円が、下記の薄緑線です。

@昨年12月から3月までに約10円値上がりしました。
その理由は、薄水色線のドバイFOB価格(右軸$/B)が、105ドルから113まで
値上がりしたのと円安で、TOCOM東京ドバイ価格(橙色)も高騰したためです。
しかしその後、原油価格はやや下落。円安は進行しましたが、相殺されました。
そしてガソリン小売価格は7月にかけ約5円程値下がりし、その後は再び上昇です。
A7月から8月にかけて10円弱値上がりしました。
この理由は、ドバイFOB価格が100$から108$まで上昇したこと。それに伴い
円建てでのTOCOM東京ドバイ原油(原油CIF価格に近似)の値上がりです。

7-8月の値上がりは、業転市況のひっ迫による価格上昇だ 

しかし上記グラフを見て頂くとわかるのですが、TOCOM東京ドバイ価格の値上幅
より、陸上業転価格の値上げの方が遥かに大きいのです。
経済原則的には、高値での節約より、猛暑で車の冷房需要増の方が大きく、
ガソリン需要が伸び、需給が締まったということなのだと思います。
しかし少し穿った見方をすれば、やはり6/28の日経1面問題から、7月の公取正式
見解発表までの一連の問題が少なからず影響していると思います。
この公取問題は週刊ダイヤモンド7/27号が比較的正しい解説をしています)

すなわち元売として、業転安での採算悪化を、系列高で補うのはやはり問題だろう。
業転市況を少し締めて、少なくとも海外品+運賃=日本入着価格以上にすべきだ。
というような危機感が共有され、競争の少ない韓国の阿吽の呼吸のように、需給を
締め、その価格が維持されているのではないかと思います。

このグラフでは、系列SS仕入れ価格と業転価格との差Bが販売元売マージン。
(但し、ローリーや油層所等の経費を含む)と言ってもいいでしょう。そして
業転価格とTOCOM東京ドバイの差Cから税金等を引けば精製元売マージン。
そして両者の合計B+Cが、概算ですが元売合計マージンということになるでしょう。

SS業界マージンは更に圧迫されている。SS絶対数の減少にも歯止めがかからない 

さて皆様このグラフを見てもう一つ重大なことを何かお気づきにはなりませんか。
ガソリンは高いと言われても、ガソリン税抜きでは100円以下で販売されている
 正解その1です。高いのは原油価格に匹敵するガソリン税と消費税です。
 無資源国の日本が、資源国なみの価格を、何と税金で取っているのです。
 来年4月に消費税が上がるなら少なくとも二重課税の解消を皆様訴えて下さい。
SS業界のマージンDが減っている。
 大正解です。元売は小売価格に関係なく、卸市況が上がったと言ってどんどん
 仕切価格を値上げます。しかし小売価格は過当競争で上げられない。その結果
 緑色―橙色=業界全体の粗利(マージン)の大部分を元売が取っているのです。
SS業界はこのような環境の元で脆弱な体質となっており、40年地下タンク問題でも
自身での投資が出来ず、その廃業にも歯止めが、かかっていないのだと思います。
業界の説明不足を申し訳なく思っています 
さて読者の皆様、そして消費者の皆様に改めて ご説明します。
昨今の業界は、10年前、20年前と比べて、値上げ等に関するお客様への説明が
少なくなってしまったと思います。何故その機会が少なくなってしまつたのか。
私の反省も含め、以下にその理由をあげてみます。

@セルフSSが増加したことです。
 SS側の例えば所長の仕事としては、POSの価格設定を変えて(値上げして)、
 価格看板表示を掛け変えれば、一応の値上げの作業が終わってしまうのです。
 今やセルフは、36000箇所のSSの1/4。更にセルフは、フルサービスの約2倍は
 販売しているので、全体のガソリンの半分は、セルフで売られています。
 従って半分のお客様は値上げの説明は聞いていない。テレビや新聞でみるだけ。
 SSに張り紙がしてあれば良い方です。そして、SSにはお客様に値上げの理由を
 ちゃんと説明出来る所長も、少なくなっているように思います。
A掛売や法人契約の大幅減少。集金は皆無でね法人カードで銀行自動引き落とし。
 昔の大口掛売りの値上げは大変でした。ドライバーさんにお願いしても、
 「私にそんな権限はないので、会社に行って責任者に話してくれ」がまず第一関門。
 アポイントを取ろうと思っても、「値上げの話なら来なくていい」が第二関門。
 ようやく合えて第三関門。でも最初は断られる。二度三度行ってようやく了承を得て
 第四関門。しかしまだあるのです。一か月後、集金に行ったら、「市況は、むしろ
 下がったじゃないか」とお叱りを頂きつつも何とか全額もらって第五関門通過です。
B同様に個人掛売り客は、いわゆる元売クレジットカードの増加。
 これもPOSでの単価の変更と、電話もしくは値上げのお願いの文書を出せば、
 値上げ作業としては終わりなのです。

でも改めて自身の反省を込め、顧客満足命で申し上げるなら、本当の値上げは、
「お客様が心から、、、」とは言わないまでも まあ仕方がないかという同意を頂いて
値上げ後もまたSSに来て頂いて、「こんなに上がったら、もう軽自動車に乗り換え
ようか」なんていう雑談を笑顔で所長と交わした時だと思います。
シリア情勢と原油価格について  今一番多い質問です。 
では今月企画の最後は、シリア情勢で高騰して来た原油価格の問題です。
世界には、数多くの原油価格が存在しますが、代表的なものは以下の3つでしょう。
一つは、米国ニューヨークのNYMEX市場のWTI(ウエストテキサスインター
ミディエイト)原油の価格で、期近つなぎの先物価格です。
二つ目は、欧州ICE市場で取引されている 北海ブレンドで、やはり先物価格です。
三つ目は、中東ドバイの原油価格で、プラッツ社が発表する一番現物に近い価格
です。但し、ドバイ原油の産出量は少なく、毎日出荷されている訳ではないので、
サイト1日の先物価格が電子市場と言ってもいいかもしれません。(価格は弊社推定)
さて今年に入ってWTI価格が急上昇し、ドバイ等との格差が解消しています。
本来に戻ったと言えば、それまでですが、シェールガス革命の余波で、シェール
オイルの増産でWTI価格は弱含みでした。パイプラインのオーナーが代わり、
出荷方向が逆になった等の話も聞きますが、そうすればメキシコ湾での需給が緩み
やはり価格は軟化するはずです。今後もこの格差を注視していきたいと思います。
尚 シリア問題は、英国が議会の承認が得られず、攻撃を断念しました。また
米国オバマ大統領も議会の支持を得たいとのことで、結論は9月中頃のようです。
その即時の攻撃はないということで、グラフの8月末価格がやや下がりました。