大船渡市へ支援物資提供&らくらくセルフ丸新 驚異の営業再開報告 と 人生最大の辛い経験 |
東京を6:30に出発。東北道では事故渋滞で途中一般道を走るアクシデントに合うも奇跡のSS再開 らくらくセルフ 丸新 大船渡SS
12:50ほぼ予定通りJX仙台支店に到着、幹部の皆様にお見舞いを申し上げました。
仙台支店で驚いたは、放置自転車ならぬ驚愕の放置新幹線。3.11の震災以降ずっと
このままだそうです。新幹線は4月中には全線開通だそうですが、本当に心配です。
仙台支店は14時過ぎに出発。しかし途中大渋滞に見舞われ仙台製油所着は15:15。
仙台製油所では、事前に大変な話をお伺いしていたのですが、火災を起こした出荷
施設以外、素人目には、被害は少なさそうに見えました。しかし1階にあった計装
機器関係は、海水に浸かってしまったので全てアウト。やはり新聞発表の通り
本格再開は、1年近くかかるのではないかとのことでした。でも復興後は、日本一
地震、津波、災害に強い製油所として生まれ変わる事を信じて応援しております。
また、国家政策レベルでも、万々が一の関東大震災を考えれば、製油所を全国に
分散配置させることは絶対に必要でしょう。それでも首都圏へ供給は、緊急車両
や病院等一部の最重要需要だけと思いますが、だからこそ絶対必要なのです。
北上市で一泊後、翌日は7:30に出発、釜石経由で大船渡は10:30に到着です。大船渡市の大船渡地区公民館に支援物資を提供
まずは、百聞は一見にしかず、ご本人撮影の下の写真をご覧下さい。
これは、大船渡町野々田の国道45号線沿いにある丸新石油店、らくらくセルフ
丸新の大船渡SSの津波が引いた後の写真です。丸新様は、伊藤忠エネクス系
の販売店様で、本SSと釜石ではエネオスマークの2SSを運営されていました。
販売室の上まで瓦礫が沢山あり、よくキャノピーが残ってくれたという感じですが
原油高騰を見越し、満タンに仕入れていた地下タンクは、無事だったそうで、
これで、オイルマン魂に火がついたようです。目の前にあるご自宅も被災し
お母様も亡くされたのですが、早期の営業再開を決意されたそうです。
まずは、膨大な瓦礫の撤去です。「SSが再開しないと緊急車両も動かせない」
と思っていた市役所の意向と一致。瓦礫は優先的に撤去してもらえたそうです。
その次は計量器。一見無事のようですが、海水に浸かったので完全にアウト。
しかし計量器メーカーのタツノさんが、奥州市から使える中古の計量器を提供、
通気管も上だけ修理すれば、使えるようなので、即工事をされたそうです。
最後は電気です。近隣同業SSが災害対応の自家発電器をもっていましたが
御自身のSSの電気が復旧したのを期に貸してくれることになったそうです。
こうして電気も水道もガスも有線電話も通じていない、地震から僅か6日目の
3月18日、驚異の早さで、らくらく「セミ」セルフSSとして暫定営業再開しました。
SS右の瓦礫が痛々しい、その奥はご自宅 私と新沼さん(右)
こんな早い時期に営業再開出来たのは、新沼さんの「ご人望」としか言いようが
ありません。その証拠にPBにもかかわらず、伊藤忠エネクスさんも、ガソリン等
を優先供給。あの環境でも製品を一度も切らすことなく、供給し続けたそうです。
そんな武勇伝は、大船渡市に感謝されただけでなくマスコミの注目も浴びました。
東北の新聞社である河北新報には 特集記事で「悲しみこらえ営業」と紹介され
動画サイトYouTubeではヘリからの空撮映像も見れます。元ネタは朝日新聞系
のようですが余計なナレーションが入っていないので、非常に臨場感あります。
またFRIDAY4/29号の104ページにも、震災直後と現在が紹介されています。
4月1日には、もう一か所のエネオスマークの釜石SSも無事再開されました。
もう十分頑張っている新沼さんに、私は「頑張れ」などとは、言いませんでした。
大丈夫。私も含めこのHPを見た多くの人が、新沼さんを応援していますので、
町の復興に合わせのんびり少しずつ、体に気をつけて歩んで頂ければ幸いです。
今回の訪問のもう一つの目的は、私の所属する東京紀尾井町RCからの支援物資大船渡市の被災の現状
の提供でした。通常、避難所は個人の支援物資を受け取ってくれないそうですが
現地の大船渡RCの方のご手配で、その公民館にいらっしゃる大船渡市職員の
大船渡地区本部の本部長様に、ちゃんとお渡しし、喜んで頂くことが出来ました。
その避難所となっている公民館は、下の写真の通り大きいのですが、小学校の
始業式が始まるとのことで、当日いらっしゃった方は、ご老人と女性が殆どでした。
人数は50-60人かなと思ったら、何と300人が避難所生活を送られているとのこと。
壁も仕切りもないので、長期間となるとプライバシーの維持が大変だと思いました。
ここは4日前俳優の渡邊健さんが慰問に来た程、大船渡では中心的に避難所です。
支援物資をお届けした後は、被災した新沼さんと30分くらいでしょうか。想像や覚悟を遥かに超える陸前高田市の惨状
「平和ボケした東京人の私に、被災者として見せておきたい場所があったら
是非案内して下さい」とお願いしました。
ご自身もお子様と命からがら逃げた裏山の高台と そこからの240度風景。
瓦礫の片隅に落ちていた看板から、そこが大船渡駅だったとようやく分かる風景。
それは非常に悲惨ではあるのですが、先に被災地入りした友人から話を聞いたり
何十枚も写真を見たりしていたので、何とか覚悟の範囲内でした。
新沼さんと分かれた後、一人で陸前高田に行ってみると状況は一変しました。死者、行方不明者数は、一体何人になるのか 5/8追記
そう、今まで車で走って来た釜石や大船渡の国道45号は渋滞していたのです。
地元の方なり、支援物資のトラックなり、警察なり自衛隊なりの車が走っていて
復興の息吹が、渋滞すなわち「人がいる」ということで感じられていたのです。
左写真は、釜石市内の国道45号、右写真は、陸前高田の同じ45号線です。
大船渡に来るまでは、こんなに渋滞していたら、約束の時間に遅れるじゃないか
と思っていたのに、いつの間にか、車はすき始め、陸前高田に入り始め、そして
ふと気がついて見る、国道を走っているのは、もう私だけでした。
車を止め、周りを見渡してみると、360度瓦礫の山。いやその瓦礫すらない更地も
大船渡までは、道の横には、建物や家があり、被災の程度も分かりました。
しかしここ陸前高田の45号線から見た陸側のどこまでも続く瓦礫の平地。
その果てしない奥行き。襲ってくる孤独感。そしてカーナビを見た時の衝撃!!
そこには、図書館、市役所、駅、学校、ガソリンスタンドの表示があるのです。
ここで生活していた人たちは、一体どうなったのでしょうか。
→
こみ上げてくる言いようのない不安。 襲ってくるとてつもない恐怖。
被災され方々、亡くなられた方々の悲しみ。
ここは、本当に「日本なのか」
ここは、本当に「この世」なのか、動けなくなる私。
そして虚無感に襲われました。1人の支援が紀尾井町RCの支援になった?
私は1kgの瓦礫どけてきた。紀尾井町RCになったらそれが10kgなった?
「桁違い」という言葉がありますが、それは10倍か100倍、せいぜい1000倍の
違いを表す表現でしょう。しかしこの陸前高田の厳しい現実を把握した今
私の支援が、どれ程のものだったのか、打ちひしがれております。こんな私に
一体、何が出来るのか、何をすべきなのか、答えが見つからなくなりました。
この陸前高田市の面積は232平方km、内宅地は僅か2.5%。震災前の人口は私からアドバイス出来ることがあるとすれば
23,302人(2010年国勢調査)。その多くが2.4km四方に住んでいました。
4/15現在、同市の死者は1282人、行方不明者は1140人 合計 2422人です。
しかしこの行方不明者は、家族や親せきから届け出のあった方だけなのです。
一家全員流されてしまったり、身寄りのない一人くらしの方は、誰が届けるのか
と心配しておりましたが、陸前高田市のHPに4/24現在の生存者数が載りました。
それによると、2月末住基ネット数24246人 4/24確認生存者数 21771人。
よって 死者+行方不明者の最大人数は 2475人以下であることが判明しました。
現在のテレビや新聞等は、警察の確認済みの死者数と届け出のあった行方
不明者数のみを伝える「発表報道」ですが、ジャーナリストの坂本衛氏は
最大行方不明者は更に多いのではないかと警告していましたが、私も
真の実態の把握は、先に最悪の数字を掲げ、そこから生存確認者を、順次
引いていく、引き算方式が、正解と思います。
ちなみに阪神淡路大震災時の死者行方不明者の人口割合は 兵庫県で
[死者6,402人+行方不明者数3人]÷1990国調人口(5,405,040人)=0.12%
一方、今回の東日本大震災は、警察発表の数字で以下の通り
(尚、死者数等につき 5/8に再調査し、上段4/15、下段5/7を両方記します。
死者+行方不明者総数が、少し減っているのが、せめてもの救いです)
全国計 4/14 死者 13,439 不明 14,866 合計 28,305 人
全国計 5/08 死者 14,898 不明 9,922 合計 24,820 人
岩手県4/15 死者 3,924 不明 4,031 合計 7,955 人口 1,330,530 = 0.60%
岩手県5/07 死者 4,377 不明 3,299 合計 7,676 人口 1,330,530 = 0.58%
宮城県4/15 死者 8,304 不明 7,918 合計 16,222 人口 2,347,975 = 0.69%
宮城県5/07 死者 8,907 不明 5,978 合計 14,885 人口 2,347,975 = 0.63%
福島県4/15 死者 1,300 不明 2,544 合計 3,844 人口 2,028,752 = 0.19%
福島県5/07 死者 1,529 不明 0,679 合計 2,208 人口 2,028,752 = 0.11%
市町村別では、
女川町4/15 死者 425 不明 1,079 合計 1,504 人口 10,051 = 14.96%
女川町5/07 死者 463 不明 691 合計 1,154 人口 10,051 = 11.48%
大槌町4/15 死者 624 不明 1,007 合計 1,631 人口 15,277 = 10.68%
大槌町5/07 死者 755 不明 952 合計 1,707 人口 15,277 = 11.17%
陸前高田市4/15 死者 1,282 不明 1,140 合計 2,422 人口 23,302 = 10.39%
陸前高田市5/07 死者 1,461 不明 724 合計 2,203 人口 23,302 = 9.45%
阪神との最大の違いは津波ですが、今回の恐ろしさが本当によく分かります。
「何か支援はしたいが何をしていいのか分からない」という読者へのお願いはマクロレベルで考えると
まず義捐金ですが、それに加え1日でもいいので被災したお知り合いの方に
何か支援物資をもって、被災地にお見舞いに行って頂ければと思います。
そして本当に酷い厳しい現状を見て下さい。目をそむけてはいけません。
そして帰って来たら、それをお知り合いに伝えて、支援の輪を広げるとともに
その心を風化させないようにすることが大切とだと思います。
今月のこのHPも業界の話題とはかけ離れてしまうので、皆様に紹介すべきか
本当に迷いましたが、業界人である前に一人の社会人として、あえて書かせて
頂くことにしました。そして多くの国民が、この惨状を見た上で、本当に必要な
事は何かを一人一人が考え、その中で自分に出来ることは何かを決め、実行
してゆくことが大切でしょう。
現地を訪問する際、支援物資は何が良いのかが一番迷うところですが、不足して
いる物は、場所や時間によって全く異なるそうです。県のHPには十分だと書いて
あっても、末端の避難所や、ましてや1階は水に浸かったが2階に避難して、
電気ガス水道のない中暮らしている方々には、なかなか届かないのだそうです。
出来れば、お見舞いする人のニーズを事前に直接聞いて、喜んでもらえるものが
いいでしょう。迷ったら日持ちのする生活必需消耗品が無難です。
「お酒」などは、両刃の剣です。9人が美味しく飲んだとしても、1人が悪酔いし
避難所の秩序を乱せば、避難所の責任者にとってご負担は増えてしまいます。
また歌を歌いに行って元気を出してもらうボランティアも良いとは思いますが、
夜キャンプファイヤーの如くたき火をし合唱となると色々問題も出て来ます。
電気が来ていない避難所なら、日が落ちたら寝るのが常識なのだそうで、
歌を歌って元気をだしたい人と、寝たい人のニーズは違ってくるので、トラブル
の原因になるようです。
支援者の「頑張ってほしい、元気を出してほしい」との思いも分かるのですが
「頑張っている人」に「頑張れ」ということは、もはや酷な話です。元気だけで
仮設住宅が建つならよいのですが、問題はそう簡単ではありません。
ここからは、国の話かもしれませんが、釜石や大船渡は、軽微な被害だった編集後記と業界の重要課題 4/27 更新
ところから直していけばよいと思います。しかし訪問した4市の中では、陸前高田
だけは、遷都ならぬ「遷市」が良いように思います。海に面した3Kmに高さ20m
の津波堤防の建設は現実的ことなのか。海の全く見えない堀の中でいいのか。
むしろこの津波の恐ろしさを10年、50年、100年の後世に伝える意味で、現状を
相当部分残すような津波国立公園も一案かもしれません。1本だけ残った有名な
松を増やして公園にはするものの、人は住まない。海水浴場やゴルフ場やテニス
コート等のいわゆる海浜公園ならよいと思いますが、甘いでしょうか。もちろん、
市民の元のまま復現させたいという気持ちもよく分かります。そういう意見も聞き
ながら、また「私は東京都民だから関係ない」ではなく、国民全体が関心をもって
取り組んで行くことが大切だと思います。
本HPは、今まで問題を指摘するも「起承転結」で、元気の出る解決策的な一応の
結論を出すことを心がけて来ました。しかし今回は、「転」の陸前高田市の現状が
余りにも重すぎて、元気の出る「結」になりません。でもそれはある意味、被災者の
心を初めて共有出来たことの表れと、お許し頂ければ幸いです。
さてこんな時ですが、業界の抱える問題や課題の大変なので一応列挙しました。
以下、箇条書きの問題点です。可能なら今後、加筆して行きたいと思います。
1. 原油価格高騰はどこまで上がるのか
ネット革命&リビヤ・アフリカ 中東不安問題か世界景気回復か、脱原発か
それとも やはり投機か 欧州中東原油 > WTI米国原油の本当の理由は
2. 3.11後 激変する日本国内の製品需給を読み説く
増える東京電力、発電用C重油需要 原油生炊き需要
増える?民間自家発電需要
増える瓦礫撤去 復興軽油需要
減る 被災地 漁業A重油 日常の工業&民生需要
減る 被災地以外での、自粛節約需要
3. 未だに回復しないガソリン需要は、前年比何%が本物なのか
売り負けているのは、自分だけではないかと嘆くSS責任者に
広がる 系列店の末端販売価格 VS 例えばJホンダ価格
4. 3.11後 激変した製品需要のアンバランスに精製は答えられるか
ガソリン < 電力用C重油 復興用軽油 なら
ガソリン卸市場価格は 大幅下落?
しかし 1の通り原油価格は確実に上昇!
そのギャップをどう埋めて行くのか
5. 元売別の需給アンバランスは
元売別 更に製油所別の装置による得意油種は
石油は連産品、原油の本来の得率は変え難いが
6. 元売別製品需給アンバランスは、元売間の力関係を変えるのか
7. エネ庁高度化法の 一時凍結はあるのか
短期で求められるのは、やはり電力用A重油
8. 東京電力 原発無しでも 5500-6000万Kwhは確保出来た?
計画という名の強制停電は 99%回避された
最後の切り札 揚水発電はどこまで見込んでよいのか
原発危機を 電力不足危機にすり替えていないか
原発のみがクローズUPされる中 火力発電はどうなっているのか
9. それでも節電は必要 節電こそ効率的に!
家庭用ならベース電力対策とピーク電力対策は分けて考える
石油業界 & SS業界も 言われる前に自主削減案発表を