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現物は動くか、先物市場の今後は 10月20日に初納会を迎える東京工業品取引所を考える |
7月−9月上場3ヶ月の価格変動と売買高は
最初ストップ高、その後ストップ安と価格的には説明のつかない、すなわち、現実の
業転市場とも、ニューヨークの原油やガソリン市場とも全くリンクしない動きも
ありましたが、今はようやく、落ち着きを見せているようです。
またその出来高も他の上場商品に比較し、極端に多いとのことです。尚、図にある
取組高とは売りや買いのままで決済が済んでいない建玉の数を表しますが、現物で
取引されない限り、いつかは決済される訳で、今後の市場規模を推測出来ます。
上記表のバックデータは、ガソリン、灯油
は、テキストにておいてあります。
元売各社は極めて冷静
任せるというスタンスで極めて冷静です。元売では例えば外資系M社は
「系列特約店から先物市場での現物売渡しの為のオーダーを頂いても商標他等の
関係から、出荷出来きません」等を事前に発表しているなど、冷静というより
むしろ沈静化を期待しているのではないかと思われる会社もあります。
この元売が否定的とも見える姿勢を示している理由は、先物市場が新たなる価格
指標となり、元売価格決定権が益々弱くなる一方、東工取の取引価格と業転取引の
実勢価格との間にずれがあることも理由のようです。ですから複数の元売が妥当な
価格で取引ができるなら参加しても良いという話しも聞いています。現在東工取の
元売会員は太陽石油と三井石油、親会社を除く燃料商社では、伊藤忠燃料、丸紅
エネルギー等です。認定当業者は守秘義務の関係で公表されていませんが、関係者の
話では、推定20−30社ではないかとのことでした。
苦心の跡が分かる受渡諸条件
及び陸上出荷(海陸格差1200円/KL)の両出荷設備を有する神奈川、東京、千葉に
所在する製油所又は油槽所のうち、理事長が理事会の議を経て指定した場所です。
その受渡条件は以下の通りです。
(2)受渡方法:内航船若しくはタンクローリーによる受渡。
(3)受渡方法の選択権:受方に帰属する。
(4)受渡日の選択権:原則として、受方に帰属する。
(5)受渡当事者の決定:抽選により決定。但し納会日から抽選で決定するまで
合意により受渡当事者の組合わせが成立した場合にはこの限りではない。
(6)分割受渡:受渡に当たっては、分割して受渡を行うことができる。
売り手の側の誠意ある協力は得られるか
失敗して抽選になり、それが運悪く千葉の業者で、その会社は川崎等にバーター
出荷先がなかった時などは、千葉まで取りに行かなくてはならないでしょう。
また製油所等は消防法上非常に危険な場所という意味で、ローリーが入所する為
には、事前に安全教育を受けたり運転者講習済み登録をしなければならない等
始めてかつスポット場合や、売り手が協力的でない場合などは、予想出来ない
多くのコストとが時間がかかることが考えられます。
申告受渡し制度とは何か
というのが設けられました。これは、前述(5)のように納会日以降ではなく、
納会の前に、すなわち11月限月であれば、10/1−10/18までに買い手
売り手双方が取引所に対して「現物を受渡しする旨」の申し入れをすることにより
取引の相手や内容を事前に決めてしまう制度です。これは価格は取引所で決めるが、
それ以外の点は通常の取引と同様に出来るという制度です。またその数量も双方の
合意があれば、差は清算して100KLを52KLまで減量出来る制度もあります。
その真価が問われる初納会
受渡しが順調に行くかどうかは、今後の先物市場を占う上で、極めて重要な時期と
なるでしょう。参考発表ながらも現物購入がが可能な中部工業品取引所のガソリン
灯油軽油は、業転と呼ばれ大変マイナーなイメージであったノンブランド品を、
正にJIS企画製品に格上げする一方、取引に参加しないまでも、その価格は
数少ない公の指標として十分認知されてきたと思います。
その価格も重要な要素です
1000KLロットのバージベースでの業転の実勢価格より、2円程度高い水準です。
従って業転で売るよりは先物市場の現物取引で売りたいと思う元売が出ないとも
限らず、そうなれば先物市場が大幅に活気付く可能性もあるでしょう。
本命の東京の石油市場が、本来のリスクヘッジ機能と公の価格指標をもつ魅力有る
市場になるのか、それとも市場関係者の為だけの、そして一般投資家にとっても
単に投資商品が増えただけで終わってしまうのか?
私個人としては、何故現物ではなく先物から始めたのか、何故期近ものが期先もの
より出来高が極端に少ないのか、それが何を意味するのか等の疑問はありますが、
決断力ある経営者にとっては、今まで資金力ある会社にしか出来なかった超大型の
在庫タンクを、超ローコストで持てる?利点も見逃せない訳で、先物市場の今後の
成り行きを見守りたいと思います。
初の申告受渡成立、10月8日追加
したことを認めました。渡し方、受け方とも萬成プライムキャピタル証券で、
決済価格は同日の引け値、受渡し方法や格差調整金額は当事者間で取り決める
としています。実際の売り手、買い手名は非公開ですが、石油市場で常に売買高の
最上位を誇る同社が、並々ならぬ努力で両者を説得し、諸条件を調整したことは
容易に推測できます。これで現物の移動が全く無いという事態がさけられた供に、
事前申告受渡し制度の有効性を始めて実際の取引で示すことなり、注目すべき
出来事だと思います。
その後の現物取引数量、11月25日追加
受渡されています。その数量の意味については、皆様のご判断の通りです。
銘 柄 12月限月 本受渡 申告受渡
11月限月 本受渡 申告受渡
ガソリン 3枚 300KL 1枚 2枚
3枚 300KL 0枚 3枚
灯 油 162枚16200KL 91枚 71枚
81枚8100KL 27枚 54枚