石油精製プラントは、SSのPOSは大丈夫か
石油業界における2000年問題(Y2K)最後の警鐘です
あなたは特別企画の 番目のお客様です。
今月は石油業界における2000年問題を考え、その不十分な対応に警鐘をならし、
この問題をより真剣に考え、また廻りの方に広めて戴くとともにあなた自身に出来る
ことを即、始めて頂ければと思います。文責、 垣見裕司2/26.NO3 5/20.NO4

あなたはその事実を知っていますか。

 コンピューター業界のSEの間では有名な話がありますが、皆さんご存知ですか。
2000年問題先進国のアメリカで97年暮れベテランSEを対象にインターネットで
こんなアンケートが行われました。
「あなたはSEのプロとして2000年問題がどのくらい大変だと思いますか。
 何も起こらないを1、非常に深刻で経済が崩壊する可能性もあるを5。
 我々SEが今後3年間、週80時間労働を余儀なくされるを中間の3。
 として1−5までの数値で答えて下さい」というものです。
さてこの結果が幾つになったと思いますか。私のかなり詳しいと友人に聞いても皆さん
2.5とかせいぜい3と答えますが、結果はなんと4.08すなわち、仕事の嫌いな?
欧米人たちでさえ、倍の労働を3年間しても経済に相当の影響を及ぼす、という深刻な
問題であると本気で考えているのです。問題の重大さに早くから気づきアメリカ政府は
各企業に真剣に対応させるため例えば航空業界のトップには12月31日から1月1日
にかけて自社の飛行機に乗り安全性をアピールするように要請している程です。
それに比べると日本のこの問題に対する意識はあまりにも低く心配しております。

2000年問題とは

 では2000年問題とは何か簡単に説明しましょう。コンピューターが本格的に
開発され始めた1960年代は、その心臓部であるCPU(中央演算処理装置)や
データを記憶しておくメモリーの能力はまだ低く、とても高価なものでした。
 そこで少しでも、その負荷を減らす為に日付データを1960/10/25の様に
本来なら年を4桁で記憶し計算すべきところを、いつも同じ19の部分を省略し
年号は下2桁で処理していたのです。現在はまだ年の大小比較は95<99と正しく
認識出来ていますが、これが2000年を超えると、本来は1999<2000と
理解しなくてはいけない処理を99>00と判断してしまうことだけでなく、今が
1900年であると認識することによる発生するあらゆる問題を言います。
「もうハードの能力が上がったのだから早く4桁に切り替えればよいでははないか」
という声が聞こえて来そうですが、その切り替えは膨大なソフトの変更を一斉に行う
必要がある為、伸び伸びになってきたと言えるでしょう。
そしてコンピューターのハードとOS(そのハードそのもの動かす基本ソフト)の
標準企画が4桁になったのは欧米で1989年、日本は1992年からのことです。
 今の機械はそれ以降に買っているから大丈夫?。残念ながら、これはハードだけは
2000年を過ぎても2000年であるということを認識して立ち上がるだけの話で
貴社でお使いのソフトが2000年や4桁化に対応しているかとは全く別の問題です。

どのような問題が起きるのか

例えば1996年は閏年で366日なのですが、オーストラリアのアルミ製錬所で
通常年とプログラムしてしまったため2/29を認識出来ずその結果溶解炉を潰して
しまったという恐い話があります。
また地上を走る車でさえ、ほとんど5−7年以内で乗り換えるのにジェット機は
どのくらい使われているかご存知ですか。日本で古くなったものは東南アジアに
転売されているそうですから製造から20年以上経たものが多いことも現実です。
 記憶に新しいのは98年10月28日。NTT関西の1ヶ所の中継設備の故障が、
大阪の電話や銀行のオンラインシステムや飛行機の運行まで支障を来したのですから
ネットワークが発達した今、何が起こっても不思議ではありません。そして今年の
1月4日。T銀行と取引先数百社をつなぐ給与ソフトが故障したのは有名な話です。

ではどうすればよいのか

今まだ何もされていない会社は、はっきり申し上げてお手上げです。
それでも何もしないよりましなので、最低限の対処方法案をお知らせします。

1.経営トップを責任者に2000年対策緊急プロジェクトチームを大至急作る。
2.現状をハードとソフトに分けて調査する。システム購入先にも協力要請する。
 (しかし購入先も他社の対応に追われているので今からでは期待できません)
3.調査の結果ハードが製造メーカーの保障がされていない場合でも、それが即
  使えないことを意味するものではありませんが残念ながら購入する方が無難です
4.ソフト調査の結果、日付データが2桁で設計されているものは危険です。対策は
 @全、日付データとその処理ソフトを4桁化に修正する方法。
  根本的な解決ですが、全データを変換し変更も一度にするので作業は膨大です
 A50以上は1900年代、50未満は2000年代と解釈させる方法
  比較的簡単ですが単なる先送りで根本解決ではありません。
 Bそれらの併用方法、 などがあります。
5.タイムスケジュールを作成、重要度の高いものから実施していく。
6.不幸にして作業完了せず2000年を迎えてしまった場合の最悪シナリオの
  対策も検討しておく。

更に問題を複雑にする時計機能付きのマイコンチップ

 しかし昨年あたりから、急に言われ始めた更に大変な問題が浮上してきました。
それはコンピューターというより、時計機能を組み込んだマイコンチップが、色々な
装置に内臓されている問題です。このチップは世界で約5百億個と言われていますが
どうやらその2−3%が2000年を認識出来ないかもしれないというのです。
我々の身近な家電製品で考えても時計機能が多数組み込まれていますね。例えば
カメラ、もし2000年を認識出来なくても、写真に写る年表示が狂うだけ問題は
そこで完結しますが、これがビデオならタイマー録画はまず無理でしょう。それでも
手動で録画するという方法がありますが、これが簡単に対応出来ない場合、例えば、
人工衛星、原子力装置、地下1000Mの石油掘削設備だとどうでしょう。
 また石油精製の様な巨大プラントは、制御コンピューターが2000年対応済でも
それにデータを送るセンサーや自動制御しているシステムは相当あるでしょうし、
その中に内臓された時計機能付きのマイコンが誤作動を起す可能性がある訳ですから
正直申し上げて絶対大丈夫とは言い切れない、というより何が起こるかわからない、
という表現の方が遥かに正しいと思います。

石油業界の対応は、望まれる情報公開

 日本の2000年問題の対応については欧米先進国に比べて非常に遅れています。
経済の中心である金融業界でさえ、クレジットカードの有効期限が99年で長らく
止まっていた事実を見ても極めて大変であったと推測出来ます。またソフトなどの
違法コピーが当たり前な東南アジア諸国では更にひどいそうです。

 では我々石油業界はどうでしょう。これは私の私見ですが近年に業績が急速に悪化
した石油業界は、他業界以上に対応が遅れていると思います。
 先ごろエッソとゼネラルそれに東燃は2000年問題は対応済みまた昭和シェルは
6月までに対応し、9月までには危機管理計画の策定を終了予定、と発表しましたが
何をどう調査し、どう対応したから、どのくらいの確立で大丈夫というように詳しく
ないのでなんとも言えませんが、他社のように全く情報公開がされていないよりは
遥かに進んでいるといえるでしょう。
 しかしエネルギー業界は、各産業の基礎的な部分を担っている訳ですから、電気、
ガス、水道や、通信等ライフライン並みの注意を払って頂くと供に、積極的な情報
公開や早期の安全宣言の発表を是非とも期待したいところです。
 ちなみに弊社取引先である日本石油にSSのPOSの対応予定をお伺いしたところ
本年7月までにDLLでOSを更新する予定という口頭による連絡がありました。


当社はその対応作業を情報開示します。

 当社は1997年10月より経理部計算センターを中心に対応にのりだしました。
この計算センターは組織としては存在しますがその人員は各部に分散配置されている
ため事実上の全社プロジェクトチームと言えます。その結果を簡単に報告します。
1.まず弊社のオフコンレベルのソフトはOS部分を除けばほぼ自社開発なので、
  ソフトの確認及びその変更作業は順次スタートしました。
2.基幹コンピューターはグループ全部で8台。本社、ガス部瑞穂配送センター、
  瑞穂充填システム、広島及び子会社2社のハード及びOSは既に対応済みです
3.大阪支店並びに徳山はこの4月にサーバーを更新、ソフトも7月までに終了です
4.弊社において物流基地としてもっとも重要で、ピーク時約10万軒相当の末端
  ユーザーのLPガスを供給する瑞穂供給センターでは、安全性を更に強化する為
  クボタシステムのオフコンを約4倍の処理能力のものにバージョンUPする一方
  2000年問題の対応をより万全にしました。そして充填器のハードはクボタ殿
  から、マイコンチップの有無に至る納得のいく解答を書面にて戴いております。
5.同じく瑞穂の販売管理や配送予測管理システムについても万全を期すため、
  ソフトの修正作業や完了したソフト検証作業を快適な環境で実施する為
  メインシステムとは切り離したハードをもう1台購入し、そのシステムクロック
  を2000年に設定した状況で変更したソフトの最終検収を順次実施しています。
6.またマイコンチップ問題についても出来ることはすべてやる方針のとも、70t
  地下タンクに設置されている日本最大級の500L/分液中ポンプ4台もメーカ
  である日機装殿に確認し、同社からマイコンチップ等は使用していない旨の安全
  宣言を書面にて戴いております。同様にLPガスコンプレッサー、エアーコンプ
  レッサー、自家用発電機等も、順次調査し各納入業者やメーカーから安全である
  旨のご報告を書面にて戴く予定です。
7.石油部のSSに導入されているPOSシステムについては日本石油様にお願いし
  正式な対応とその情報開示を強く要請していく所存です。
8.また12/31及び1/1は関係者には今から出勤を予定し動作確認をします。
9.更に万一に備えシステム対応以外のマニュアルを作成、少しでもその影響を軽減
  する方針です。尚以上すべての対策費用はハードのみで約3000万円です。
不安を煽ってもいけないのでそのマニュアルは一般公開しませんが、どうしても
見たいという方は、氏名、勤務先、アドレス等をお書きの上、 メール下さい。

備え有れば憂い無し&2000年問題リンク集

 垣見が石油業界情報を発信するのは分かるが、コンピューターは素人なのに!
というお叱りも頂きそうですが、私は三菱電機オフコンユーザー会の会長を拝命して
おりますし、大学では経営工学科でコンピューターの経営システムシュミレーション
が専門でしたので、ある意味では今回の方が私の得意分野です。
 しかしここまでやった当社でも、その時になってみなければ分からないというのが
本音ですから、この企画も道義的な情報開示であり、100%の安全性や万一の損害
の補償をお約束出来るものではありません。(損保各社も適用除外を表明しています)
でも、備えあれば憂い無し?、参考に関係ページのリンク集を記載しておきます。
郵政省政府機関のHP
中小企業庁中小企業施策情報
(社)日本電子工業振興協会(JEIDA)団体のHP
日本商工会議所政府の補助金制度等
全国銀行協会連合会銀行システムの対応状況
日経コンピュータ(日経BP社)誌面連動コラムです
ビジネスコンピュータニュース(BCN)迫りくる2000年へ
石油連盟2000年問題への取り組みを紹介
富士通 ここはお勧めです西暦2000年まであと?
三菱電機 三菱電機の西暦2000年問題
(社)日本情報システム・ユーザー協会究極のリンク集があります