ポリとビニール、どこが違うの?
 ダイオキシン問題など地球に優しい袋を考える
あなたは3月企画の 番目のお客様です。今月は弊社の年商の
半分以上を占める合成樹脂部の主力製品「ポリ袋」について解説します。

ポリとビニールの違いをご存知ですか?

 どちらも石油が原料でガソリンに近いナフサから造られるプラスチックの仲間です。
このナフサから「エチレン」が造られ、更に圧力をかけたのが「ポリエチレン」です。
ここまでの段階では、白い米粒のような状態ですが、これを熱にかけて溶かし、
風船のように膨らませて薄く伸ばした物がポリエチレンフィルムで、これを切って
袋状に張り合わせた物が、ポリ袋です。
似たような袋で、せんべいが入っている袋(透明度がよくぱりぱりした感じの袋)
あれは同じナフサから造られる、「ポリプロピレン」と呼ばれるものです。
 一方ビニールの方は正確には「塩化ビニール」と呼ばれ、原料にはそのエチレンと
塩(塩基)がほぼ半分くらい混ぜられています。

その特徴と用途の違い

 一口に違いを言うのは難しいのですが、加工がし易く、薄くしても強度があり、
軽くて水に浮くのは、ポリエチレン。しかし透明性にはやや乏しい面があります。
用途はコンビニ等で広く使われるの持ち帰りレジ袋や型物状としてはポリバケツです。
 逆に塩化ビニールは、ポリより熱に強い特徴を活かした食品用のラップフィルムや
透明性を活かしたテーブル用保護シート、農業用のビニールハウス、型物状では洗剤の
容器、簡易水道管などは、代表的な用途です。

長所が短所のブラスチック?

 これらプラスチック類の最大の長所は「水にも強く丈夫で長持ち」ですが、これを
使用後のゴミとして考えると自然界では極めて分解し難いという短所になっています。
 しかし現在は、有機物を混ぜ、使用後土に埋めバクテリアにより分解するものや
紫外線に弱い構造にして日光に長時間さらすことにより分解するもの等、自然界に還る
プラスチックが開発され、一部に実用されつつあります。
 しかしまだ用途面やコスト面で問題がありますが、環境意識がもっと浸透してくると
このような分解性のプラスチック製品も急速に普及して来るでしょう

今話題のダイオキシンが出るのはどっち?

 ずばり!ポリエチレンは発生しません。発生するのは、プラスチック全体ではなく、
塩素系物質が含まれているゴミが、触媒の働きをする重金属と低温(300度)で燃焼した時
にダイオキシンが発生すると言われています。(850度の高温燃焼ではまず発生しない)
 従って多くの企業で、塩化ビニールからダイオキシンが発生しないポリエチレンや
ポリプロピレン等ポリオレフィン系の包装製品に急速に移行し始めています。

塩化ビニールよりもポリエチレンの方が地球に優しいのか

 こうしてダイオキシンの点から考えるとポリエチレンが優れているように見えますが
逆に塩化ビニール業界ではこれを否定。「塩はビニール以外多くの物に含まれている。
すべての塩化物質を焼却炉に入れないのは不可能で、低温燃焼させない事の方が大切」
「ゴミの塩素含有量とダイオキシン発生に相関関係はない」と反論しています。
 またポリとビニールの製造までの必要エネルギーという点ではビニールの方が
7割以下、CO2の発生量も半分以下とポリに優っております。
 新聞情報では、ダイオキシンが発生しない酸素を使わない燃焼方法(分解方法)も
開発中とのことでこれが実用化されればどちらが地球に良いかは一概には言えません。
 しかし今すぐ出来る一番大切な事は消費者も販売業者も「過剰包装をやめる」とか
「リサイクル品を使う」「洗剤ならボトルをとっておき詰め替え用を買う」という
案外簡単な意識の問題かも知れません。 98/2/28 文責 垣見佐右衛門